RANGE ROVER EVOQUE とクルマデザイン論
ずいぶんとはじけちゃったね、ローバーさん。(ローバー美々じゃないよ)
RANGE ROVER EVOQUE。
イヴォークって、ファッション誌のタイトルみたい。
それを意識したかどうかは知らないけど、ファッションモデルにも似合うカッコよさ。
2008年のデトロイトショーでコンセプトモデルが登場したたきは、Facebookなんかで「市販されたら欲しいぃぃぃ(買えないけど)」なんてシェアしたっけ。
レンジローバーは、砂漠のロールスロイスなんて言われてきた四駆の王様。だけど、正直あまり好きじゃなかった。っていうか、かっこ悪いとさえ思っていた。古いクルマも四駆も四角いクルマもむしろ好きほうなのに(実際、自分で初めて買ったデリカの4WDも、13年以上乗ったボルボのワゴンも、曲面なんてどこにもないんじゃない?ってくらい四角四面だった)、なんかバランス悪い気がして。
ところがそのコンセプトモデルは、わが心のパラドックスを打ち破ってくれた。そう、古いか新しいかでも、四角いか丸いかでもなく、心に響くかどうか。ただカッコよく感じるかどうか。しかも、ほぼコンセプトモデルそのままのデザインで市販されたのだからうれしいじゃあ〜りませんか。買えないけど。
カッコいい〜ってだけでは青っぱな半ズボン小学生レベルなので、大人としての審美眼を持っておきたい。それはブランド(または車種)としてのアイデンティティ=「らしさ」だ。
一番の好例はポルシェかな。古かろうが新しかろうがどの車種だろうが、カエルに見えるポルシェ以外の何モノでもない。フェラーリやランボルギーニ、アストンマーチンやマセラッティもそう。みんな買えないけど。
リバイバルカーなんて呼ばれているminiやビートル、FIAT500なんかも、現代の厳しい安全基準をクリアしながら、うまい具合にそれぞれのアイデンティティを保っていると思う。ムスタング(今どきはマスタングと呼ぶらしい)やカマロなどのアメ車も最近は「らしさ」を取り戻して魅力的。
で、一気に現代的になったイヴォークも、貝を伏せたようなクラムシェルボンネットに前面の大きなロゴ、ピラーを黒くして屋根を浮いているように見せるフローティングルーフなど、控えめながらも「レンジローバーらしさ」が表現されている。
残念ながら、日本車にはそういうこだわりが感じられるものが少ない。ところが、世界的に見ると一番売れてるんだよね、そんな日本車が。でもそれはあくまでも、足としての需要にクオリティで応えているだけだと思うんだよなぁ(悪いということではない)。
現実的には、アイデンティティへのこだわりなんぞ屁みたいなもので、ビジネスとして成功するとは限らない。実際、ローバーもあのジャガーも、今やインド・タタ社の傘下に置かれている。タタっていったら、10万ルピー・カーですよ。10万ルピーって、20万円くらい、原チャリ並みですよ。英国王室御用達の栄光だってガンジス川の流れに吞み込まれちゃったわけですよ。
思うに、心に響くアイデンティティのあるクルマって、愛着が湧いて買い替えないでしょ。乗るたびに「ようっ、相棒。今日は元気か?」みたいな感じで。そうなると新車が売れない→メーカーはヒィヒィ。逆に愛着がなければ、すぐ乗り換える→メーカーはウハウハ、という図式なんじゃないかな。ちょっと乱暴な理論だけどね。
規模ではトヨタの鼻くそくらい(失礼!)のBMWはがんばっているかな。商売としても。マイベストは2002(マルニ)だけど、最新のもなかなかカッコいいじゃないの。
ホワイト&ブルーのエンブレムがなくても、BMWにしか見えないよね。
【おまけ】
話に出てきたデリカ4WDの写真が見つかったので。今どきの流線型1Boxでは考えられない、前輪の真上に座るトラックポジションがステキ。
ちょうど私をスキーに連れてっての知世ちゃ〜んな時代。
こいつに泊まって着替えて、ゲレンデのカフェテラスでスキー天国していた。
それにしてもダサダサだなぁ、自分。メタボじゃなかったけど。