Chrysler Crossfire Roadster
昨日の続き、なんちゃってメルセデスのお話。
2006年に手に入れたクライスラーのクロスファイア・ロードスター。
乗ってる本人はかっこいいと思っているんだけど、ほとんど売れずに(聞いた話では全国で1000台も売れていないとか)生産中止となったせいか、購入から7年も経つというのに、その間、ショールーム以外で見かけたのはたったの1台という不人気車非常にレアな車だ。
なんだ、アメ車やん。と突っ込んだ人、その通り。
そう、その通りなんだけど、ちょっと違うんだなぁ、これが。
車離れが進んでいる時代のせいか、若い人はちっとも振り向いてくれないが、スーパーカーに憧れ、いつかはクラウンなんてコピーを真に受けて育ったおっさんたちの目は引くようで、オープンにして停まっていようものなら「これ何てクルマ?」とすぐに話しかけられる。
「ドイツ製のアメ車です」
車名を言っても分からないのでそう答えているが、たいてい相手は「んん?」と一瞬フリーズする。
そりゃそうだよね。意味不明だもん。
当然「どういうこと?」と突っ込んでくるのがおっさんの習性。こちらもその気持ちがよく分かるおっさんである以上、めんどくせぇと思いながらにこやかに説明してあげるしかない。
なので、ここから先は、どんなクルマか知りたいっておっさん向けということで。
1998年に、クライスラーがダイムラー(ベンツの会社ね)と合併したことは有名。その後、21世紀最初のデトロイト・オートショーでクライスラーが出品したコンセプトモデルが予想以上の人気を博しちゃったのね。そこで「ちょうどいいクルマがダイムラーにあるじゃない(←想像です)」とメルセデスベンツSLKという小型スポーツカーをベースに、そのショーモデルの外装を載っけたのがクロスファイア。
ボンネットに収まるV6 3.2ℓエンジンも、コックピットのメーターやスイッチ類も、見えないシャシーやサスペンション、ギアボックスなどもまんまSLK。しかも、ポルシェやビートルなどを手がけてきたことで知られるカルマン社がドイツで組み上げているのだから、ほぼドイツ製と言っていい。
でもねー、見た目はイイ意味でアメ車なの。なんちゅうか、男っぽい。
ベースになった初代SLKは、当時のシロガネーゼあたりを狙ったんじゃね?という感じのぷりぷりプリティなデザインで、やけに小さく見える。
対してクロスファイアは、同じシャシーなのに一回り以上大きく見えるし、何と言っても精悍な顔つきがいい。ミラーに映ったこの顔を見て先行車がサッと道を譲ってくれるくらい。いや、煽ったりしませんけどね。タイヤもゴツくて、ノーマルなのにフロントが225/40ZR18、リアが255/35ZR19という極太扁平タイプ。
さて気になるお値段は…(通販かぃ)
じゃ〜ん、定価で約540万円。
昨日の230SL買えるやんって突っ込みはなしね。半世紀前のクルマだといつ止まるか分からないでしょ。仕事でも使うから、それは困る。
もちろん定価で買うわけはない。ちなみに同じ3.2ℓの初代SLKは約600万だったから、その時点で60万もお得。しかも、2006年にはミラーなどのパーツをクロムメッキ化してなぜか490万に値下げした(要は売れないから)戦略モデルが出て、その差は110万に広がる。さらにさらに、値下げなんて文字は辞書に載っていない天下のメルセデスに対し、アメ車ってだけで(実はドイツ車なのに)シロガネーゼにもアザミネーゼにも見向きもされないクライスラーは、それこそ深夜の通販ばりに「今ならジャスト400万!」なんてびっくりドンキーな値引き対応。
中身が同じ新車が200万も安い3分の2の値段で買えるなんて、ありえねーーでしょ?
200万円っていったら、朝昼晩に牛丼食べて6年半も暮らしていけるんだよ。
先のおっさんに「中身はメルセデスのSLKなんですよ」なんて言うと、「高そうだねぇ」と言われるも、そんな値段のカラクリには触れないのが大人ってもの。
買った翌年には、両社の合併が解消されて、モデルチェンジもなく生産中止になっちゃったから、さぞかしプレミアがつくんじゃね?と期待が膨らむところだけれど…
そこは車好きのおっさんさえ存在を知らない残念なクルマだけに、中古価格も残念な状態で、もはや乗り続けるしかない 。
いや、とても気に入っているから乗り続けますよ。いやいや、強がりじゃないって。